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山口大学医学部

霜仁会会長

福本 陽平

第70回山口大学医学祭に寄せて

 

 恒例の平成26年度山口大学医学祭が、今年も盛大に開催されることに心よりお祝い申し上げます。今年は、「On your feet ~医気揚々~」がテーマで、11月7日~9日は、医学部の医学科、保健学科の学生さんによる、お祭り広場でのパフォーマンスや、コンサートやお笑いライブ、医学展示やバザーなどが催され、盛り上がると思います。また、この医学祭は、市民の皆さまと学生諸君との交流を一つのコンセプトとして行われ、外の社会から学生さんの医学・医療に対する姿勢、考え方が問われていますので、その意気込みを示して下さい。この医学祭では、“医気揚々”と青春のエネルギーを燃やすことも必要ですし、医学生としての知性も見せて欲しいものです。

 最近、米国からの芸能報道で(平成26年8月中旬)、映画「ミセス・ダウト」などで熱のこもった演技を披露して、人気のあったハリウッド俳優のロビン・ウイリアムズさんの突然の死が伝わってきました。重度のうつ病による自死との報道もあり、この“ホットな天才”の悲報は大変残念でした。その数日後、新聞の片隅に、往年の人気ハリウッド女優ローレン・バコールさんの病死が報じられ、全盛期にはクールな美貌とハスキーな声が人気だったとの記事があったため、改めてネット情報を開いてみると、当に“クールな美貌”の評判通りの容姿でした。映画俳優であれば、ホットな演技もクールな演技も両方共にこなす必要があります。一方、映画の撮影ではありませんが、医療現場でもホットな状況とクールな情況の二面性が必要です。救急室や手術場における医療者の行動がそれにあたり、現場での行動はホットであっても頭の中は常にクールであることが求められます。

 最近の医学部の学生さんは、外面的にも内面的にも“クールな印象”が強いと感じているのは私だけでしょうか。小市民的ではなく、もう少し独自性を発揮し、柔軟に行動してみることも必要ではないでしょうか。社会全体が物事を明るく楽天的に思考することを抑制しているのでしょうか。年寄りの戯言かも知れませんが、医局や大学院などのシステムは、これから医療人として高度な生涯教育を続けるために、絶対必要な仕組みだと思います。生命科学が日々進歩している現在、医療者に生涯教育は必要ないと考える人は居ないでしょう。特に若い時には、将来への不安もありますが、青い空や広い海のように大きな可能性があり、少しの失敗も修復できる柔軟性があると考えています。

せっかくの楽しいお祭りに水を差してしまったかもしれませんが、今年の山口大学医学祭が盛り上がり、皆さんのエネルギーが“ホットに燃える”ことを願っています。

 

霜仁会会長

第70回山口大学医学祭

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